駆動系のオーバーホール

フルコース

[ ベルト交換 + ドライブ/ドリブンプーリーO/H + クラッチO/H ]

カバーの取り外し
安定した場所でセンタースタンドを立てます。
左後のアンダーカウルを外します。参照
印がついたビス、ボルトを外します。
クラッチカバーを取り外します
軸のボルトが固着している場合があるので、作業の前日にCRCなどの浸透潤滑スプレーなどを吹いておくとベターです。
ベルトなどのゴム部品やプラスチック部品に付着しないように注意します。
ドリブン側にも同様に吹いておきましょう。



ドライブ側ユニットの取り外し
クランクシャフト側のプーリーを取り外します。
プーリーホルダーをドライブフェイスにセットします。
軸のナットをメガネレンチで緩めます。CN250N型以前は19mm、CN250P型以降は22mmです。

もし緩まない場合は、体重をかけたり、レンチを足で踏むなどの無理は禁物です。エアインパクトレンチを使用するか、信頼の置けるショップに依頼します。無理矢理に力を加えると、破損や転倒などの事故につながります。
ドライブフェイスを外します。
繊細なアルミ製です。表面に傷がつかないよう、仰向けに保管します。
ドライブベルトを外します。
プーリーを外します。
繊細なアルミ製です。表面に傷がつかないよう、仰向けに保管します。



ドライブプーリーのオーバーホール
クランクシャフト側のプーリーを整備します。グリスに触れる可能性があるので、使い捨てのビニール手袋などを使用するとベターです。
分解
プーリーボス(カラー)を外します。
清潔なウエスなどの上でプーリを裏返します。
裏側のボルト3本を7mmのレンチで外します。
グリスガードを外します。
ランププレートを取り外します。
ウエイトローラー6個を取り外します。
トリムリムーバーなどで、表裏2個のオイルシールを外します。(再使用できません)

固くはまっています。工具の先端でプーリーを傷つけないように注意します。
各部品のグリスを拭き取り、パーツクリーナーなどで洗います。
組み立て
プーリーに新品のオイルシールを取り付けます。このとき、シリコングリースなどを塗布すると、スムースに組み込めます。
プーリーのローラー室と新品のウエイトローラーにグリースを適量塗布し、組み込みます。
ランププレートのスライドピースを新品に交換します。
ランププレートを取り付けます。
Oリングを新品に交換します。
グリスガードを取り付けます。浮かないよう、しっかりとはめてからボルトを留めます。
プーリーの内壁にグリスを適量塗布し、プーリーボスを取付ます。少しでも斜めに入ると、傷がつく可能性があります。ゆっくりと垂直に差し込みます。
裏表とも、表面に付着したグリスや油を、パーツクリーナーなどで拭き取ります。不要な油分が付着したまま組むと、滑りが発生して走行に支障をきたす可能性があります。

パーツクリーナーはオイルシールなどのゴム部品に付着しないよう注意します。




ドリブン側ユニットの取り外し
トランスミッション側のユニットを外します。クラッチシューのダストが舞う可能性があります。防塵マスクや保護メガネを使用するのがベターです。
クラッチアウターにシザースホルダーをセットします。
軸のナットを17mmのメガネレンチで緩めます。

もし緩まない場合は、体重をかけたり、レンチを足で踏むなどの無理は禁物です。エアインパクトレンチを使用するか、信頼の置けるショップに依頼します。無理矢理に力を加えると、破損や転倒などの事故につながります。
クラッチアウターを取り外します。
ドリブンユニットを取り外します。

次の項目で、このユニットのクラッチとプーリーを分離します。



ドリブンユニットの分離
ドリブンユニットを、クラッチとドリブンプーリーとを分離します。
センターのナットを41mmのクラッチ用レンチで緩めます。
センタースプリングでテンションが掛かっているので、飛び出さないように足で踏んで体重を乗せるか、コンプレッションツールで固定しながら、慎重にナットを緩めていきます。
クラッチユニットとセンタースプリングを取り外します。



ドリブンプーリーのオーバーホール
トランスミッション側のプーリーを整備します。
分解
カラーをマイナスドライバーなどで外します。マイナスドライバー2本を両側からかけると外せます。
固くはまっていますが、垂直に引けば抜けます。
カラーを外します。
ガイドピン&ローラー外します。
プーリーを分離します。傷が入らないよう、垂直に引き抜くことが重要です。
Oリングを外します。
トリムリムーバーなどで、表裏2個のオイルシールを外します。(再使用できません)

非常に固くはまっています。工具の先端でプーリーを傷つけないように十分注意します。
各部品のグリスを拭き取り、パーツクリーナーなどで洗います。
このとき、中心の穴はウエスで拭き取るだけにします。パーツクリーナーを吹き込むと、ベアリングに封入されたグリスが流れてしまうためです。
組み立て
新品のオイルシールとOリングを取り付けます。

このオイルシールは非常に固く、はまりづらいですが確実に取り付けることが必要です。シリコングリースなどを塗布し、垂直にはめ込むのがコツでしょう。
内壁にグリースを適量塗布します。表面に付着したら、パーツクリーナーなどで拭き取ります。パーツクリーナーは、オイルシールなどのゴム部品に付着しないよう注意します。
プーリー同士を組みます。ここでも垂直に差し込むことが重要です。
新品のガイドピン&ローラーを差し込み、グリスを適量詰めます。
カラーを差し込みます。固く、はまりづらいですが、ここでも垂直に差し込むことが重要です。
押し出されたグリスをパーツクリーナーなどで拭き取ります。グリースが残っていると、遠心力で飛び散り、滑りが発生して走行に支障をきたす可能性があります。

パーツクリーナーは、オイルシールなどのゴム部品に付着しないよう注意します。
押し出されたグリスをパーツクリーナーなどで拭き取ります。グリースが残っていると、遠心力で飛び散り、滑りが発生して走行に支障をきたす可能性があります。

パーツクリーナーは、オイルシールなどのゴム部品に付着しないよう注意します。
ベアリングにグリスを適量塗布します。



クラッチのオーバーホール
クラッチを整備します。R型後期のもの(フォーサイトと共通?)がアッセンブリで取り寄せ可能ですので、完全にリフレッシュする場合はお得で手間も省けます。
分解
サークリップをトリムリムーバーなどで取り外します。(再使用できません。)
サイドプレートを取り外します。
スプリングフックツールか針金でクラッチスプリングを外します。

シザースホルダーでクラッチユニットを固定すると作業しやすいでしょう。
クラッチシューとクラッチダンパーゴムを取り外します。
各部品をパーツクリーナーなどで洗浄します。
組み立て
クラッチプレートに新品のクラッチダンパーゴムを取り付けます。

20km/hまでの振動を抑える大事な部品です。小さなゴムですが役割は大きいです。忘れがちですが交換しましょう。
新品のクラッチシューを取り付けます。

万一、クラッチシューにグリースなどの油分が付着したら、パーツクリーナーなどで脱脂します。
スプリングフックツールか針金で新品のクラッチスプリングを取り付けます。

シザースホルダーでクラッチユニットを固定すると作業しやすいでしょう。
サイドプレートを取り付けます。
ラジオペンチで新品のサークリップを取り付けます。



ドリブンユニットの組み立て
クラッチとドリブンプーリーを組みます。
新品のセンタースプリングにカラーを付け替え(P型以前はカラー無し)、ドリブンプーリーにセンタースプリングを取り付けます。
クラッチユニットをセンタースプリングに乗せます。
クラッチユニットを取り付けます。センタースプリングを縮めながら、センターナットを締めこみます。締付トルクは79N・m。
サンドペーパーでライニングの角を僅かに落とします。
裏表とも、表面に付着したグリスや油を、パーツクリーナーなどで拭き取ります。不要な油分が付着したまま組むと、滑りが発生して走行に支障をきたす可能性があります。パーツクリーナーはオイルシールなどのゴム部品に付着しないよう注意します。



組み付け
各ユニットを組み付けるにあたっては、余計な油分が付着していないことを確認しながら作業します。また、ベルトやプーリー、クラッチなどに不要な油分を付着させないように、手を良く洗い油汚れを落としておきましょう。
シャフトを綺麗に拭き取り、ネジやスプライン(溝)の汚れも落とします。ナットを再使用する場合はパーツクリーナーなどで内側の汚れも落とします。
ドリブンユニットをシャフトに取り付けます。
クラッチアウターを取り付けます。
シザースホルダーをセットして、軸のナットをトルクレンチで締めます。締付トルクは74N・m。
シャフトを綺麗に拭き取り、ネジやスプライン(溝)の汚れも落とします。ナットを再使用する場合はパーツクリーナーなどで内側の汚れも落とします。
ドライブプーリーをシャフトに入れます。ボスがスプラインにはまるまで入れます。

このとき、ウエイトローラーがずれないよう、ランププレートを押えながら取り付けます。また、ボスがプーリーから抜けないよう注意します。
ドライブ側、ドリブン側とも、プーリーに油分が付着していないことを確認します。

ここでもう一度パーツクリーナーで拭いてもOKです。
新品のベルトをドリブン側にセットします。
ベルトをドライブ側にセットします。
ドリブンプーリーを絞って、ベルトを内側へ移動させます。
ドライブフェイスを取り付けるにあたって、ベルトを挟み込まないないようにドライブプーリーの外側へ移動させる必要があるためです。
ドライブフェイスを取り付けます。ベルトがドライブプーリーに挟まれず、フェイスの中心がボスに確実に接していることを確認します。
ワッシャーとナットを取り付けたら、プーリーホルダーをセットして、トルクレンチで締めます。締付トルクは94N・m。
ドリブン側で内側に移動させたベルトを、外側に戻します。
ナットにサインペンで印を付けておくと、緩みが目視で確認できます。
ナットにサインペンで印を付けておくと、緩みが目視で確認できます。



カバーの取り付け
クランクケースカバーを取り付けます。

うまく入らない場合は、一旦外して付け直します。少しコツは必要ですが、正しい位置に正しい方向から取り付ければOKです。
ボルトを取り付けます。
クランプ2個を取り付けます。
冷却口のバンドを取り付けます。
アンダーカウルを取り付けます。



完成チェック
周囲の安全を確認してエンジンをかけます。5分ほどアイドリングをします。異常がなければ、慎重にテスト走行をしましょう。
100kmほど走ったら軸のナットの締め付けをトルクレンチで確認します。
問題がなければOKです。締め付けは定期的に確認しましょう。

オーバーホール後は、交換した部品を馴染ませるために慣らし運転を励行しましょう。
お疲れ様でした!

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